生活者が企業を監視するしくみは必要か?

昨日、韓国ソウルで講演してきました。
昨年秋に、拙著「ロングエンゲージメント」の韓国語版が発売されまして、おかげさまで中々好評とのこともあり今回の講演を組んでいただいたようです。
主催はソウル芸術大学と、JWT KOREAの方々。本当に有り難うございました。

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僕の講演のあとに、ソウル芸大の広告クリエイティブ学部教授が締めとして興味深い話をされました。
韓国でも、企業が広告で作ろうとしているイメージと、その企業の実際の行動とのギャップが広がり過ぎて、深刻な問題になっているということです。
これは、僕が講演で話した「等身大ブランディング」の内容を受けての話でした。

いくつかの例のひとつに「THE PUBLIC EYE PEOPLE’S AWARD」という、グリーンピースが投票を募って発表する「世界最悪企業ランキング」のデータ紹介していました。

$京井良彦の3分間ビジネス・スクール-世界最悪企業

1月末に発表された、2012年ランキングは、
1位:ブラジルのVALE社
2位:日本の東京電力
3位:韓国のサムソン

VALE社の選出理由はアマゾンの自然破壊といわれる「ベロ・モンテ・ダム」の建設。
東京電力は、もちろん原発事故ですが、そのあとの隠蔽も含めた対応のまずさも大きな理由。

そして、取り上げられたのはサムソンです。
サムソンは、ヒュンダイなどと並ぶ、韓国が誇る世界的ブランド。
と、僕は思っていたのですが、地元の方からするとそうでもないようなのです。
利益至上主義というイメージが強すぎて、何をやっても裏で金儲けを考えていると思われてしまうみたい。
教授の話は、サムソンの「エコキャンペーン」を例にあげ、そのメッセージを表面的なものと見抜いた生活者がこの投票に参加して3位という結果になったのだという説明でした。

そして教授の提案は、企業の活動を生活者が見張る仕組みが必要だというのもの。
例えば「ウィキリークス」は、政府の活動を生活者が見張る仕組みとして機能しています。
それと同じように、企業活動を監視するための「企業版ウィキリークス」のようなものが必要になっていると。
昔話題になった、市民団体が自費出版した本「買ってはいけない」シリーズのソーシャル版みたいなイメージでしょうか。

で、「なるほど」と思いつつも、「ちょっと、そこまでは。。。」と思ったりもしました。
うーむ、なぜなら企業活動は政治と違い、ポリシーの主体はやはり企業側にあるからでしょうか。
企業は顧客最適に全力をあげるべきだと、僕も思います。
但し、政治と違ってその判断権は、あくまで企業側にあります。
どういうやり方でその声を取り入れるかというのも企業側の判断です。

でも、ソーシャルメディアの浸透によって、情報の共有と透明化は誰にも止められません。
いずれにしても、常に生活者はソーシャルメディア上でその企業やブランドについて、うわさ話をしているんですね。
だから、ウィキリークスのような仕組みがあろうがなかろうが、あまり関係ないかも知れないと思うのです。
その声に耳を傾けるかどうか、それは企業側の判断です。
そして生活者は、企業に期待に答えて欲しいと思って、発言しています。

だから、僕は、監視するというような刺激的な言葉よりは、生活者と企業が一緒になって、いいものを生み出していく、コ・クリエーション(共創)というような考え方に向かっていって欲しいなあと思うのです。
茶道の世界でいう「主客一体」。
気の利かないホスト側、文句を言うゲスト側というのではなく、ホストとゲスト、一緒になって価値を生み出せていけたら、こんな素晴らしいことはないと思うわけです。

はい、今日はちょっと感想程度の話でしたが、別の原稿に追われていて、このへんで失礼します。
では、また(^^