ウィキリークスが示す『逆パノプティコン』の可能性

ウィキリークスが公表した米外交公文に、沖縄普天間基地移設に関する情報があり、問題になっていますね。
確かに、これが事実ならば、見過ごすことはできません。

ひとつは、グアムへの移転費用が10億ドル以上も水増しされていたこと。
この費用負担が大きいということが焦点となっていたはずです。
ここには、国民の目を欺いて辺野古へ誘導しようという、浅い意図が見られます。
これは、自民・公明の連立政権下で合意されたこと。

もうひとつは、鳩山前首相が、県外移設の公約で票を集めたにもかかわらず、その裏で米国に対しては「県外移設先が見つからなかった場合は辺野古に立ち戻る」と確認していたということ。
国内では「県外」をアピールしながら、米国には「真逆」を話していたということです。
こんな、二枚舌がまかり通るのでしょうか。

日本政府は、まず事実関係を明らかにして、日本国民にも、米国にもキチンと説明すべきでしょう。
今の時代、こういった悪い意味での「政治的」な動きは、みんな見透かされるようになっていることを、もっと理解すべきだと思います。

先日、ハーバード大学客員教授ジョン・キム氏の「逆パノプティコン社会の到来」という著書を読みました。
「パノプティコン」というのはご存知ですか?
イギリスの功利主義哲学者であったジェレミー・ベンサムが考案した建築様式で、真ん中に監視塔を置いて、その周りにグルリと監房を配置した刑務所のことです。

$京井良彦の3分間ビジネス・スクール-パノプティコン

監視塔の看守からは、すべての囚人を常に見ることができますが、囚人から看守を見ることはできないようになっています。また、囚人同士もお互いに見ることはできません。

この環境では、囚人は常に見られているという意識をもつので、変なことをしなくなるのです。
こうなると、たとえ監視塔が無人でも、囚人にはそのことが分からないので、自発的に服従してしまいます。
最後には、監視塔に向かって祈りを捧げるまでになると。。。

ウィキリークスが、突きつけたのは、この逆の構図です。
つまり、僕たち国民が、看守等から政府を監視するというもの。
これを、「逆パノプティコン」と、著者が呼んでいるのです。

政府や大企業をはじめとする既存の権威は、情報の占有や統制を通じて、その権威を構築し、維持してきました。
しかし、ウィキリークス、そしてフェイスブックなどのソーシャルメディアが情報の透明化を極限にまで進めることによって、既存の権威は崩壊してしまいました。
つまり、新しい情報民主主義が再構築されていく可能性が示されたということ。
そして僕たちは、ここに期待しているんですよね。

別に僕たちは、政府から祈りを捧げられたい訳ではないですが、とにかく政府や大企業は、世の中がこういった情報社会に大転換中であることを理解しておかないと、全くの茶番劇を演じてしまうことになりますよね。(^^;

逆パノプティコン社会の到来/ジョン・キム