東北関東大震災による被災地の皆様には心よりお見舞い申し上げます。
地震、津波、原発事故・・・かつて日本が経験したこともない危機的状況が続いています。
個人的な感想を述べるべきタイミングなのか、躊躇してしまいますが、僕は、この震災が人々に、明治維新、太平洋戦争終戦と同様の価値観の転換をもたらすように思えます。
つまり、この危機を乗り切った後、日本には、全く新しい社会が誕生しているように思うのです。
もちろん、僕たちは、まず、目の前の支援に全力を注がなければなりません。
そして同時に、次のビジョンを掲げていかなければならないと思います。
では、次に向かうべきビジョンとして、どんなことを考えていかなければならないでしょうか?
今日は、3・19に大前研一氏が講演した内容などを参考にしてまとめてみたいと思います。
●次なる東北地方を目指して
まずは、震災、津波で被災した地の復興です。
しかし、被災地の方々の話を聞いていても分かるように、皆、単に元のように戻りたいわけではありません。
また、同じような事象が起こったときに、被災が繰り返されないようにするべきです。
それには、復興ではなく、全く新しい東北地方のコミュニティを築く必要があるでしょう。
それは、水際には緑地と公共施設を配置し、高台に整備した宅地を配置するというヨーロッパのような街並みをつくることかもしれません。
でも、これは、自然に任せていては成立しないでしょう。被災地の人々は、それぞれが、元の自分の土地を探し始めてしまいます。
一刻も早く、行政がリーダーシップをもって街づくりのビジョンを示していく必要があると思います。
●原発事故の次の一手
本日も、雨の中、新たに煙が上がり始めるなど、目先の非常対応に追われています。
しかし、これも電源復旧によって、冷却システムが安定した後の計画が必要です。
まずは、天井が飛んでしまった建屋をどうするか?
今の燃料を冷却する期間は、最低でも5年といわれていますが、このままでは、5年間、放射性物質が出っぱなしです。
よって、東京ドームのような巨大テント型屋根を建設して1号機から4号機までをスッポリ覆ってしまう必要があります。その建設に、早急に取り掛かるべきでしょう。
また、冷却した燃料棒を移動させる際のクレーンが壊れているようです。
これも、早急に建設に入らないと、5年後に冷却されても、青森の再処理上に運び出すことができません。
そして、大きなビジョンは、日本における原発自体をどうするかです。
アメリカは、スリーマイル事故以降、1台も原発を建設していません。
エネルギー供給に対する考え方を転換させるべく、誰かがビジョンを掲げてリーダーシップを発揮するべきでしょう。
●節電の中期展望
そして、とりあえずの対処としている計画停電ですが、これも原発のビジョンとともに考える必要があるでしょう。
まず、皆で理解しなければならないのは、節電するというのは、家計における電気代を節約するというものではなく、「ピーク時の消費電力を抑える」ことが必要だということです。
だから、明るいうちは良いけど、暗くなってからの消費電力を抑えるなど、ピークを散らす方法を考えることが大事なのです。
たとえば、4月からサマータイムを導入することなどを大前氏は提案しています。
2時間、時計を早めれば、その分、太陽で明るさを賄う時間が増えます。
また、同じ週休2日制でも、その2日を散らすように行政が整理することもできます。
企業によって、土日なのか、月火なのか、水木なのか、金土なのか、休日の設定を変えるのです。
あとは、夏の冷房のピークまでにできるアイデアを今のうちに検討していくということでしょう。
さて、このようなビジョンをもって人々が行動していくと、日本の次の姿は、全く新しいものになるような気がします。
欧米型資本主義経済の象徴である大量生産、大量消費。
戦後、日本人も同じ思想を取り入れてこれに追い付きました。
しかし、もしかすると、人間が地球人として共存していく上で、必要以上のエネルギーを作りだし、そのリスクを人間自信が負えないものになっていたのかもしれません。
人は、「行き過ぎた」と気づいたときに、どこに向かうのでしょうか。
ただ単に、後戻りするということではないでしょう。
日本人は、新しい価値観、本当のハピネスをどのように捉え、次の社会をどのように築いていくのか。
世界の各国は、それを見つつ、エールを贈ってくれているのだと思います。