マーケティングは戦争論という限界

本日の龍馬伝は、木戸孝允が長州戦争勝利の勢いにのって、幕府に攻め入ろうというするところ、坂本龍馬が戦をせずに大政奉還へ持ち込むことを提案するというラストシーンでした。

僕は、この坂本龍馬の「戦回避」の発想は、これからのマーケティングに必要なものと考えています。

マーケティングでは、戦争論のレトリックが多用されますよね。

「戦略」、「戦術」、「ターゲット」、「囲い込み」などなど・・・・。

アル・ライズとジャック・トラウトの著書「マーケティング戦争」は、ドイツの退役軍人であるクラウゼヴィッツが書いた「戦争論」をもとに、マーケティングを論じています。

同書ではマーケティングを「市場での戦いに勝つために企業が用いる戦略と戦術」と位置付けています。

その主張は、「顧客志向」という考え方が特別なことではなくなり、どんな企業でも顧客志向を掲げているということから来ています。

このような環境では顧客のウォンツを見つけ出しても、他にも同じ狙いを持った企業が山ほど現れ、結局商品やサービスに差がつかないということになります。

そこで企業は、競争相手思考にならなくてはならないと説かれています。

競争相手の弱点を見つけ出し、そこに焦点を合わせてマーケティング攻勢をかけるべしというわけです。

そして、広告をマーケティング戦争における「武器」と定義しています。

ナポレオンが砲兵隊長を経験して、砲兵の使い方を熟知していたように、企業も武器である広告の使い方を熟知した上で、成功を勝ち取るべしと説かれています。

本書は、マーケティングのバイブルともいえるものですが、今読み返すと、競合企業や顧客を「敵」に見立てて完全に打ち負かすということに焦点を絞った論理展開に疑問を感じてしまいます。

こういった発想で活動する限り、今回は勝利をおさめても、次回はまたすぐにやられるということになるかもしれません。

ひとつの領土をめぐって、獲ったり獲られたり飽くなき戦いが際限なく繰り広げられるのでしょう。

ソーシャルメディアが十分に普及した社会では、この考え方を改める必要があると思います。

生活者も企業も政府も、この新しいプラットフォーム上でつながっていて、コミュニティの一員という意識を持ち始めています。

みんな一緒に生きているコミュニティを、より良くしていこうという連帯意識が生まれやすくなっています。

そんなことから、マーケティングも広告も、短期的に効果をあげる「瞬発力」から、長きにわたって共存共栄を目指すという「持続力」への転換が迫られているのだと思うのですが、みなさん、どう思われますか?(^^