アスリート達に学ぶ、4枚目のお札(おふだ)

熱狂のロンドン五輪、興奮も冷めぬ間に、閉幕となりましたね。
いっぱい勇気をもらい、勉強もさせてもらいました。

いろんな種目でのアスリート達の活躍は、洗練された戦略とトレーニングの賜物で、企業やブランドの競争戦略にも、とても参考になりますね。
先週のエントリーで取り上げた「ストーリーとしての競争戦略」に、スポーツのメタファーがよく使われているのも、よくわかります。

今日は、ロンドンアスリート達の活躍とこの本を参考に、ビジネスにおける競争戦略の4つの切り札を整理してみましょう。

①まずは、競技種目の選択。
どの種目=業界でやっていくのかを判断するということ。
これは、どこが、自分にとって優位に戦える種目/業界かを決めるということです。
逆に言うと、できるだけ正面から競争しなくてもすむような、自分にとっておいしい種目/業界でやっていくということです。

②次に、業界内のポジショニング。
これは、選択した業界の中で、いかにユニークなポジションをとるか、位置取りの話。
いわば、タイプの選択です。料理でいうレシピの違い。
つまり、何をやって、何をやらないかを決めるということです。
ビジネス上での「戦略」という言葉を使うときは、この部分が指すことが多いでしょう。

③そして、組織能力/オペレーション。
これは、程度の話。アスリートで言えば、筋力やスピード、センスや精神力などでの優位性を身につけるということ。料理でいういい素材を安くという戦略です。
日本の多くの企業は、ここでの競争にしのぎを削っていると言われていますね。

この3つが、競争戦略の3つの切り札です。
4つ目に行く前に脱線ですが、日本むかし話にある「三枚のお札」という話をご存知ですか?
お寺の小僧が、ヤマンバに追われ、和尚さんにもらった三枚の札で戦うお話です。
結局、三枚目もヤマンバに破られて、最後は和尚さんの出番になります。
和尚さんは、ヤマンバを豆に化けさせて、食べてしまいます。

では、アスリートや企業やブランドにとって、この和尚さん、つまり4枚目の切り札は何でしょうか。
そう、それが、「ストーリー」というわけです。

④ストーリー
これは、先週もテーマにしましたが、相手に勝つための、動きや流れを構想するものです。
あーして、こーして、こうなったら、ここでこれをかます、というようなもの。

特にサッカーや、バレーなどのチームスポーツは、個人としてのスーパースターがいなくとも、ユニークなパス回しや、独自の守備固めというストーリーでの勝負が重要になってきます。
マラソンや体操などの個人種目をみていても、普段からのトレーニングで、②、③の戦略は磨いてきていますが、本番当日はタイムや得点以上に、どの状況でどういうストーリーを描くかが、勝敗を決しているように思います。

企業、ブランドもアスリート達の戦いと同じ。
3つの切り札を極限までに追求した上で、4枚目の切り札としての「ストーリー」を描けてこそ、メダルに手が届くんでしょうね。

代表選手のみなさま、関係者のみなさまお疲れさまでした。
今日は、このへんで(^^