つながりの力が「見える人」と「見えない人」

一昨日、沖縄で地元企業を活性化する目的でソーシャルメディアに関する講演をしてきました。
沖縄には熱烈なファンを持つ地元ブランドが多くて、こういったファン同士を結びつけて、その力を味方につけるのにソーシャルメディアは大きな力を発揮すると思います。
参加者のみなさんもその辺よくお分かりで、本当に熱心に聞いていただき、その後もたくさん個別の質問をいただきました。

みなさんの質問、というか悩まれていることの多くは、社内でソーシャルメディアを導入し、ネットワークの力を活用していこうとする際、社内をどう説得していけばいいかということです。
メリット、リスク、可能性、どれだけ説明しても社内上層部の理解が得られないという状況があるようです。

これは確かに難しい問題ですね。
なぜなら、こういうネットワークの力=「つながりの力」が「見える人」と「見えない人」が生まれてきているからなんです。(これは武田隆氏の著書にも詳しく述べられています)

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人類史上で、最もお互いにつながり合う時代の到来。
「見えている人」は、自分自身が普段からソーシャルメディア上で活動していて、意識的か無意識的かに関わらず、今起こっている大きな変化を感じています。

そういう人たちがつながりの恩恵をどんどん経験しているのに、一方で未だ経験していない人もいる。そんな中で、「見える人」と「見えない人」の差は、お互いのコミュニケーションが不能になるレベルまで広がっているのです。

ソーシャルメディアが浸透し、重要性が増すとともに、その「つながり力」をうまく活用し始める企業と、敵に回してしまう企業が出てきているのは、この「見えている」か「見えていない」かの問題でしょう。

大事なのは、「つながりの力」は、これまでのマーケティングの発想自体を変えてしまうということです。
たとえば、企業の生活者への接し方。
これまでは、言わば「ドレスコード」によって装い、「NGワード」をふせるというやり方で接してきたわけですが、そうではなく「自然体」で接する「普段の姿」が大事になってきます。

それから、コミュニケーション。
これまでは、洗練された広告の「キャッチコピー」によってコミュニケーションをとってきたわけですが、これからは「ユーザーレビュー」のようなリアリティある声が求められます。

広告は、一瞬のベストショットを提供する発想でしたが、これからは、商品、企業哲学も含めた付き合い方や体験、つまり「ベスト・エクスペリエンス」的なものを意識しなければならないわけです。

一番やってはマズいのは、こういった新しいつながり時代のマナーに、これまでのマーケティングで踏み込むことでしょう。
要するに、今や表面的に格好つけようとすればするほど見透かされ、逆に格好悪く見えてしまう時代になっているのです。
こういったことが「見えて」いて、生活者とつながることを志向すれば、ネットワークの力をうまく活用して、顧客をパートナーとして味方につけていけると思うのですね。

そんな「見えない人」が見えるようになるには、結局、自分でフェイスブックなり、ツイッターなりをいじくり回してもらうしかないんですよね。
ま、そんな観点からも、みんなにソーシャルメディアを日常的に楽しく健全に活用してもらって、どんどんその恩恵を実感されることを願っているわけです。

はい、ということで、今日はこのへんで。
あっ、上の写真はキテレツ大百科が「見える」神通鏡です。(^^