経営学者はドラッカーなど読まない?【世界の経営学者はいま何を考えているのか / 入山章栄】

みなさん、ものすごい大雪ですが大丈夫ですか。
成人式の雪、東京では平成13年以来だとか。
この雪のおかげで、予定をキャンセルして読書。
積んでた本、5冊読めました。

遅ればせながらですが、話題になっていた「世界の経営学者はいま何を考えているのか/入山章栄著」が面白かったので、紹介させていただきますね。

この本はタイトルの通り、世界の経営学の最前線の考え方をわかりやすく紹介しているものです。
まずは、この取っ付きにくいテーマに入っていくにあたり、「経営学についての勘違い」というキャッチーな話題が取り上げられています。
たとえば、「アメリカの経営学の最前線にいるほぼすべての経営学者は、ドラッカーの本など読んでいない」というもの。
ピーター・ドラッカーは「経営学の父」と呼ばれる思想家で、世界的にも有名です。
ただ、ドラッカーは思想・名言として素晴らしいとされてはいるものの、そもそも「学問としての経営学」として認識されていないということです。
ドラッカーは、「名言ではあっても科学ではない」。
経営学は、科学を目指しているというわけです。

また日本の経営学では、企業のケーススタディから定性的に経営の法則を引き出そうとする帰納法アプローチが主流ですが、世界ではケーススタディを読み解くことは少なく、理論仮説を立てて統計的に検証する「演繹法アプローチ」が主流とのこと。
このあたりからも、科学を目指す姿勢がよく分かります。

このような前置きから、「マイケル・ポーターの競争戦略論はもう通用しない」とか、経営学でも最近一大潮流となってきている「ソーシャル」の科学的な分析など、ワクワクするような経営戦略論の最前線が、網羅的に解説されています。

これらは知的好奇心を刺激されて、すごくおもしろいです。
ただ、「おもしろい=これまでの常識をくつがえす」ということを何でもかんでも追求しすぎる危険性も、述べられています。
理論家が「おもしろい=これまでの否定」を発表したいがために、言いっぱなしのままで、実務検証されずにほったらかしにされている論文が非常に多いと。

そんなことも含め、この本もあくまで経営学という学問に触れるということで、即経営実務に活用できるというものではないと思います。
それでも経営のアカデミアと実務家とのギャップを埋めるという意味で、本書はすごく意義あるものだと思いました。

そして経営者だけでなく、僕たちみんなが、こういったビジネスの共通言語を理解していくことで、現場の実務もスムーズに、確実性高く判断できていくんだろうなとも思います。

もちろん、こういったものはあくまでフレームなので、理解しつつもこれらを活かして、自分でどう考えて、どう行動していくかというのが大事ですよね。
成り行きでビジネスを進めるのではなく、理論を自分でコントロールしながら実践する。
そんな中から、次のケーススタディが生まれてくれば、素晴らしいじゃないですか。
僕も、心掛けたいと思っております。はい。

ということで、今日はこのへんで(^^