最近、仕事がドタバタで、フェイスブックやツイッターでの情報シェアも手が回らないことがあったりとかですが、忙しいときに限って、いい本がいろいろ出てきて、困ってしまいます。(^^;
先週、「グーグル的思考」の著者、ジェフ・ジャービスの新刊「PUBLIC」の日本語版が出たので、分厚いのですが、もろもろを後回しにして読みました。
そして期待どおり、ここ最近このブログで取り上げている「僕たちのオープン化思想が社会を変えていく」というテーマの参考となるような内容が盛りだくさん。
今日は、この本の内容を参考に考えていきたいと思います。
このソーシャルメディア時代、僕たちはどこまでパブリックになるべきか、つまり、私的な情報を公開していくべきなのでしょうか?
本名、職業、年収、居住地、写真、家族、買い物履歴、今の気分、今いる場所、食事、観ているテレビ、映画、今一緒にいる人・・・。
それは、情報を公開することによる「メリットをどう考えるか」と、そもそも「プライバシーをどう考えるか」次第だと言えます。
プライバシー擁護は、歴史的にもずっと議論されてきた問題です。
しかしその線引きは、結局表裏の問題。つまり、公か私かは相対的なものであって、片方がもう片方を決めているということです。
プライバシーの歴史的は、常にテクノロジーの進化によって意識改革を迫られてきたものです。
グーテンベルグが印刷機を発明する以前、情報は手書きのもので、口承伝達されるもので、匿名で、パトロンに支えられ、そしてこれが大事なのですが、新しい知識を集めるよりも古い知識を残すことを目的としていました。
印刷技術の登場は、人々に、個人的な手記をパブリックにするという恐怖をもたらしましたが、そのメリットが人々の価値観を変え、プライバシーの考え方も変えていきました。
今や、報道によるプライバシー侵害は議論になっても、本や新聞や週刊誌などの印刷メディアそのものをとやかく言うことはないですよね。
グーテンベルグ以降、現在までの数百年、情報は書き残されるようになり、著者のものとして普遍で、所有され、製品として形になって商業的で、キチンとはじまりと終わりがあるものになりました。
また、カメラと録音機、そして電話というテクノロジーの登場が、新たなプライバシー問題となりました。
これらを誰もが持ち歩いたり、使い始めたとき、当時の人々は神経を尖らせたといいます。
でも今や、プライバシー擁護のためにカメラや電話を廃止するようにいう人はいません。
そして、インターネットがもたらしたソーシャルメディア時代。
以降、僕らの情報とメディア体験は、再び対話型で、オープンで、シェアされ、コラボレーション(参加)に基づくものになり、企業の製品開発は完成型よりもプロセスに力点が移り、あらゆるプロジェクトはアマチュアで、終わりのないものになっていきます。
こうした変化は、情報を通貨にしたデジタル経済への大きな転換のなかで起きてきたものです。
僕たちはこれらの変化にどう対応すべきでしょうか?
プライバシー擁護のためにインターネットを廃止するなんてことはあり得ないですよね。
そんな抵抗をするより、変化を理解して、その中でいかにチャンスを見出すことが必要です。
僕たち個人としては、情報をオープンにすることによるメリットを理解した上で、どこまでをプライバシーとし、どこからをオープンにしていくかを自信で判断し、それによってこれからの社会における自分のポジションを自分で決めていくということ。
ということで、その判断基準となる、オープン化、パブリック化することによるメリットを、この本「PUBLIC」から抜粋してみましょう。
1.つながりが築かれる。企業も個人も情報を公開することでつながれる。
2.他人が他人でなくなる。会ったことのない人と友達になれる。
3.コラボレーションが生まれる。企業はベータ版を公開して顧客とともに製品を作っていく。
4.集合知が生まれる。
5.企業活動の完全神話が払拭される。イノベーションが生まれるのは不完全でも開かれた場であること。
6.偏見を解く。プライバシーこそがタブーを作り出し、変化を阻んでしまっていた。
7.名声が得られる。人間誰でも注目されたいという欲求を満たす。友達に認めてもらいたくて有益な情報を公開していく。
8.組織化する。中東革命は「ツイッター革命」でも「フェイスブック革命」でもなく、人々を組織化した結果である。
9.僕らを守ってくれる。社会はパブリックになればなるほど安全になる。
うーん、特に9.は、保守派にもっとも誤解されていることだと思います。
日本でも「五人組」制度のような、みんなでみんなを守ろうという思想はあったんですよね。
とにかく、今の時代、僕たちはこれまでにない力を与えられてるということです。
創造し、つながり、集まり、知識を積み上げる力。
それは、僕たちに新しい生き方と、新しい産業と、新しい市場を造り出してくれます。
僕たちが、オープンでパブリックに向かうことが、寛容で信頼できる新しいハピネスを実現する社会につながっていくということを、僕も信じているわけです。
また長くなってしまいました。(^^;
今日はこのあたりで。