「ベストを尽くして失敗したら、ベストを尽くしたってこと」スティーブ・ジョブズ

毎週、日曜夜に定期更新をしているこのブログですが、やはり今日という日は、この気持ちを残しておきたいという想いがあります。

現地時間2011年10月5日 スティーブ・ジョブズ氏 56歳 永眠。

もちろん、知り合いでもなければ、生の本人を見たことさえありません。
でも、やっぱりジョブズ氏とアップルに対する想いはそれなりにあるんです。

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僕がアップル製品を手にしたのは、確か社会人2年目だったかな。
1993年の暮れにジョブズ氏不在のアップルが発売した新製品、「color classic2」、通称「カラクラ」を購入したのが最初だったと思います。
あこがれのマッキントッシュを手に入れた僕なのですが、デザインやスペックも含め、何か物足りなさを感じたことを覚えています。
もちろん、そのマウスのすばらしい操作性に関しては、驚いたのですが、何か期待し過ぎていたような・・・でも今から考えると、それはカラクラに、ジョブズ氏の意思が反映されていなかったからなのかも。

その経験から、しばらくアップルを敬遠していたのですが、ジョブズ氏復帰後、まあ、みなさんも当然そうなのでしょうが、改めてアップルに魅せられていきます。

iTunesとiPod。
音楽大好きな僕にとっては、世界がひっくり返るようなモノでした。
それは、つまり製品スペックにではなく、コンセプトそのものに大共感したんですね。
その後は、もうアップルの思うツボのユーザーになっていきました。

iPhone、MacBook Air、iPad・・・
毎回、ジョブズ氏の新作発表プレゼンテーションに熱狂しました。
「今日、アップルは電話を再開発します」といったiPhoneの発表。
封筒からノートパソコンを取り出してみせた、MacBook Airの発表。
とにかく、すべてが新しかったのです。

それは、ジョブズ氏の発想「アップルが勝つためには、マイクロソフトが負けなければ、という視点を乗り越えなければならない」というセオリーによるものでしょう。
市場のシェア争いではなく、新しい市場を創るという強い意志。
これこそが、真のイノベーション発想だったわけですね。

ジョブズ氏がいなければ、21世紀はまた違う世界になっていたでしょう。
と同時に、彼は誰もいない暗闇を一人で歩き続けていたということなのでしょう。
有名なスタンフォード大学でのスピーチ。
「Stay hungry, stay foolish!(ハングリーであれ、愚かであれ)」は、彼自身に対してのエールでもあったのかも知れませんね。

そんなジョブズ氏の活躍から、僕は、勝手に影響を受けてしまいました。
たった一人の信念が、世の中を変えることができることを学びました。
デザインという言葉の本当の意味や、そのデザインが人々の生活を変えてしまうことも分かりました。
プレゼンテーションのあり方、人の心を動かす瞬間も目の当たりにさせてもらいました。
そして、常に死と向き合いながら前に進み続ける、その精神力に感動さえ覚えました。

いや、もちろん、勝手に勉強させてもらったと思っているだけで、何が出来るようになったわけではないのですが、とにかく、まだまだ学ばせてほしかったと思うわけです。
僕が受け持つ大学の講義も、初回はアップルのCM「1984」の事例検討から始めていますが、それはやはり解説する必要もなく、その革新性が学生たちに理解してもらえるからなんです。

数々の名言を残したジョブズ氏。
これは、あまり有名じゃないかもですが、僕が一番好きな言葉です。
1996年、業績低迷のアップルに、大きなリスクがあることを承知で復帰を承諾したジョブズ氏が言ったこと。

「ベストを尽くして失敗したら、ベストを尽くしたってことさ」

今でも、勇気を与えられます。
心より、ご冥福をお祈りいたします。