一昨日の5月28日、日経新聞最終面の記事をツイッターで紹介しました。
『テレビCM 震災で転機 商品より企業の姿重視 AC一色経て作り手意識変化』 という見出し。
で、内容が、
「個人の幸福追求が第一という風潮が長く続いたが、震災後、人々は地域や家族への帰属を志向するようになった」
「これからは、企業が信念を持って商品を作っているか、社会に役立っているか。それに関して視聴者の観察眼に応えるCMが、高感度をあげるかもしれない」
というもの。
まさに、拙著「ロングエンゲージメント」と同じ見解です。
ただひとつ僕の主張が違うのは、この流れは「震災が転機」というだけでは説明できないということ。
僕が本を書いていたのは、昨年の6月頃です。もちろん震災など予測もしていません。
つまり、震災が転機ということだけではなく、それ以上に、ソーシャルメディアの浸透が人々のマインドに変化を与えたことが大きいと思っているのです。
ソーシャルメディアによって、人々は「つながり」という価値観を意識するようになりました。
自分がつながっているコミュニティをより良くしていきたいという意識が強くなっています。
そんな中で、企業が「素顔」を見せて人格を築き、人々との「日常のつながり」を持つということが、マーケティング・広告コミュニケーションにおける重要課題になりました。
グローバルの有力ブランドは、この「日常のつながり」の構築に力を入れています。
コカ・コーラ、スターバックスなどのフェイスブックページには、2千万人を超えるファンが登録しています。
これだけのつながりを持っていると、どんなテレビCMを打ち出しても共感されるでしょうし、そこでメッセージを発信するだけで、それが広告の役目を果たしてしまいます。
残念ながら、日本のブランドで一千万ものフェイスブックファンをもつブランドはありません。
今の世の中、「つながりの構築」こそが、広告の役目だと思うのです。
広告の役目は、「伝える」から、「つなげる」に変わってきているのです。
しかし、不思議です。
日本でも、B to Bのビジネスは、まず「つながりの構築」から始めるはずです。
営業担当が、クライアントと日常的な関係を築き、十分ニーズを理解した上で提案に入る。
しかし、B to Cになったとたん、マス広告などの空中戦で、「これすごいよ!買って、買って!」と、つながりを飛び越えたコミュニケーションをとろうとするんですよね。
もちろん、伝達の効率を追求するとマス広告は有効です。
でも、ソーシャルメディアが浸透してくると、もっといろんな伝達の可能性が出てきますよね。
企業と人々のコミュニケーションの方程式は、どんどん変わってきているということです。
そして、それはますます原点回帰している。
このあたり、環境の変化にキャッチアップしていかないと、企業の想いは残念ながら片思いになってしまいます。(^^;