「福袋戦争」についての考察

2010年の年末は、西武有楽町店の閉店などで、再び百貨店不況がクローズアップされました。

一方で、正月は恒例の福袋合戦。ここはまた社運をかけた見せどころなのでしょう。

実は僕、この福袋について、少々疎かったので、今回ちょっと調べてみました。

京井良彦の「3分間ビジネス・スクール」-fukubukuro

「もう、いい大人だから、中に何が入ってるかワクワクするという気持ちになれないなあ」という理由から、福袋に興味を持てなかったのですが、どうやら、それはもう全く分かっていないということらしい。

というのは、もう福袋は「中身が分かっていて買うもの」になっているからなのです。

以下、福袋研究会 の情報をもとに福袋の歴史を整理してみました。

●江戸時代~福袋のはじまり

今のところ、江戸時代に呉服の「大丸」がはじめたというのが有力らしいです。

初売りに、着物生地の切れ端を袋詰めにして売り出したということ。

その中に、たまに金の帯の切れ端が入っていて、これが「当たり」という認識が生まれたということです。

●1980年代~ブレイクの兆し

1984年に銀座のデパート前に、福袋のために千人の行列ができたという新聞報道があったとのこと。

(今の1万人行列という状況からは、ささやかなものですが)

ここで、福袋人気の到来というかと思いきや、バブル到来。

人々の目は、高級ブランドに向かったため、一旦沈黙しました。

●1991年~高額福袋

バブルも崩壊というころ、高額福袋なる、ひとつウン十万という高額福袋が発売されました。

これは、ワイドショーなどのマスコミでの話題喚起を狙ったものですが、今も続いています。

●1994年~プランタン銀座革命

三越、松屋、松坂屋、和光、マリオン・・・百貨店激戦区銀座において、「プランタン銀座」が1986年開店以降、地道に福袋開発を行っていたことがマスコミ報道され、大ブレイク。

ここで福袋は、「在庫一掃セール」から、「内容がお得なもの」という認識に書き換えられたのです。

●2003年~銀座福袋戦争

前年まで、銀座の老舗、三越、松屋、松坂屋の初売りは1月3日、一方、プランタン銀座の初売りは1月2日で、プランタンに1日のアドバンテージがありました。

しかしこの年、銀座の老舗百貨店は、一斉に1月2日初売りに、営業日を前倒ししたのです。

ここに銀座福袋戦争勃発。

結果は、プランタンの行列をほとんど減らすことなく、老舗にも行列。

なんと、福袋人口を純増させることになったのです。

●2005年~ついに福袋の中身公開

この年、老舗中の老舗の三越が、ついにオキテ破りに出ました。

なんと、福袋の中身を事前に公開することにしたのです。

要するにこれは、インターネット、特にブログなどのソーシャルメディアの普及によって、購入者が中身を公開し合って、評価し合うという行動をとるようになったことに対する対応策でした。

ウェブがもたらす透明性ということですね。

これに他も追随。ここから「福袋」は、中身を知った上で買う、いわば「得袋」になったのです。

とまあ、ざっとこういう歴史があったようです。興味深いですね。

しかし、中身が見えていても、買い手にとってのリスクはまだ存在します。

それは、福袋は結局、セットセールスだからです。

つまり、分かっていながらも、いらないものも付いてくるということ。

で、賢い買い手は、これらに対する対応策もネットで議論し合っています。

たとえば、

①洋服などサイズのあるものは避けて、食品などの福袋に特化する。

②サイズのあるものは、同じ体型の友だち複数で共同購入し、あとで交換し合う。

などなど。

いやはや、もう生活者も巻き込んでの戦争になってきているようですね。

やっぱり、見ている方が楽しいかも。(笑)