無意味な差別化が市場を成熟させる

「ロングエンゲージメント」でも、「成熟市場」について触れましたが、ハーバード・ビジネススクールの教授、ヤンミ・ムンさんの著書「ビジネスで一番、大切なこと」で、その成熟市場について面白い説明の仕方がされていたのでメモしておきたいと思います。

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写真は、家電量販店にある電子レンジ製品の陳列。

僕自身が、あまりレンジを使わないということもありますが、にしてもそれぞれの違いがよくわかりません。

製品を考える場合、生まれたてのカテゴリーでは種類は数えるほどで、一種類しかない場合もあります。

栄養捕食食品のパワーバーや、ウォークマン、コカ・コーラやペプシも最初はそうでした。

しかしカテゴリーが成熟するにつれて、選択肢は爆発的に増加します。

パワーバーだけでも類似商品は40以上、ウォークマンだけでも20以上(ポータブルオーディオだと100以上!)の選択肢があるといいます。

つまりある製品の成熟度を測る簡単な方法は、カテゴリー内の製品の種類を数えることです。

しかし、ここで問題なのは、「選択肢の増加=多様化ではない」ということ。

むしろ、製品数が増えるほど、その違いは小さくなっていくのです。

もはや違いを楽に見分けられるのは、「カテゴリーのマニア」になるしかないのです。

パソコンのマニア、カメラのマニア、筆記用具のマニア。。。彼らは熱烈なカテゴリー愛好家です。

しかし、ある段階に達すると、もはやマニアでさえ区別がつかなくなります。

たとえ区別がついたとしても、そこに意味が見出せなくなります。

こうなると、マニアのカテゴリーに対する愛着が薄れ、愛着を示すこと自体、バカバカしく見え始めます。

カテゴリー通でいるためには、細かな違いにもこだわらなくてはなりませんが、普通の人が気にもかけないところにこだわりすぎると、最初は「専門家」だと一目置いていた周囲も、眉をひそめるようになります。

こんなふうに、意味のない差別化がすぎると、製品の違いを信じている愛好家が笑い者にされかねない段階になってしまうというのです。

企業側は、無意味な差別化競争で、愛好家をこんな目に会わせてはいけないといいます。

そのためには「意味のある差別化」が必要。

そして、それこそが『ブランディング』ということです。

で、ここからが、この本の本題なのですが、これまた長く長くなるので、またの機会に!(^^;