オーケストラ型組織からジャズ型組織の時代へ

先週、ループス・コミュニケーションズ代表の斉藤徹さんの新刊「ソーシャルシフト」出版記念パーティに招待いただいたのですが、そこで斉藤さんの面白い話を聞きました。

社会へのソーシャルメディアの浸透が、企業の活動にどんな影響を与えるかという話で、その比喩が冴えているんです。

これまでの企業は中央統制による組織運営を目指していて、それはまるで「オーケストラ」のようだとの説明でした。
一人の指揮者を、奏者がグルリと取り囲み、全員が指揮棒の指示に注目し、その指示に合わせて一糸乱れぬ演奏を展開する。
これは、完成するととても強いチームで、日本企業も、長年このやり方で成長を遂げてきたんですね。

$京井良彦の3分間ビジネス・スクール-オーケストラ

しかし、ソーシャルメディアによって、個人は自らの考えを発信するようになってきました。
こうなると、指揮者の指示に従うだけでは満足できず、自らのアイデアを演奏に活かすことで、曲全体の展開に貢献したいと思うわけです。

これは、オーケストラではなく、「ジャズ」の発想だとの説明でした。
個人個人が、場面場面で、自らのモチベーションでアイデアを出し、自ら行動することで組織に貢献する。
つまり、中央統制ではなく、自律統制。
そんな、企業活動にシフトする必要が出てきている、という話です。
なるほどと、ストンと腑に落ちました。

$京井良彦の3分間ビジネス・スクール-ジャズ

ただ、もちろんこういった組織を実現するのは簡単ではないでしょう。
大きくは、2つの改革が必要なのだと思います。

ひとつは、社員の「HERO化」。
HEROとは、High Empowered and Resourceful Operativeの略。
つまり大きな力を与えられ、臨機応変に行動できる社員のことです。
社員は、ソーシャルメディアを活用して、生活者と自在にコミュニケーションをできるスキルを身につけ始めている。
そんな彼らに大きな裁量を与えると同時に、自らモチベーションをコントロールして、パフォーマンスを最大化するという強い意思を持ってもらうということです。

そしてもうひとつは、トップや管理職の「オープンリーダー化」。
主役はあくまで現場のHEROたちです。
彼らを信頼し、自立的判断を尊重しながらバックアップする、いわゆる「オープンリーダーシップ」が必要になってくるということです。

たとえば、アメリカのオンライン・シューズショップのザッポスは、コールセンターのマニュアルがないなどで、HERO社員を多く抱える企業として有名です。
「人を信じる」、「人に任せる」ことが徹底されていて、ほとんどのことが現場判断に任せられ(業務中に社費でピクニックや映画にいくこともOK)、CEOのトニー・シェイのサインはいりません。

しかしそれは、オープンリーダーシップのルール、つまり「オープンであることに責任を持たせる」ということと、その逆の「失敗を許す」ということが徹底されているから機能しているのです。

ザッポスの給与水準は、決して高くないのですが、フォーチュン誌の「最も働きたい会社ベスト100」の6位にランクインしています。
採用合格率は6%と、ハーバード大合格よりも狭き門になっているとのこと。

ソーシャルメディア社会では、そんなHEROとオープンリーダーシップによる企業改革、つまり、大人な集団とも言えるジャズ型組織への転換が迫られているということです。

さて、こんな話、旧態依然とした日本企業には夢物語なのでしょうか?
いえいえ、そんなことはないはずですよね。
そのあたりは、また次回考えていきたいと思います。

えーと、ブログって、新幹線の中で書くと、ホント長くなってしまうんですよね。
すみません、では、このへんで(^^;。