今日は、久しぶりにビジネス本の話です。
ダニエル・ピンクの新刊「モチベーション3.0」を読みました。(原題は「Drive」)
前作の「ハイ・コンセプト」に続き素晴らしい内容です。
2009年を代表するビジネス書がクリス・アンダーセンの「FREE」だとすると、2010年の一冊はこれでしょう。
その明快な主張は、これからの社会の価値観を変えてしまう可能性を持っています。
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか/ダニエル・ピンク
さて、本書で言う「モチベーション3・0」とは何でしょうか。
ピンク氏は、コンピューター同様、社会にも人を動かすための基本ソフト「OS」があるといいます。
●「モチベーション1.0」とは、生存(サバイバル)を目的としていた人類最初のOSです。
●「モチベーション2.0」とは、いわゆる「アメとムチ」です。
つまり、報酬と罰則に基づく動機づけによるOSです。
これは、ルーチンワークなどオペレーションの効率化を追求する時代には有効でしたが、21世紀以降、現在は完全に機能不全に陥っていると言います。
●そこで「モチベーション3.0」です。
これは、自分の内面から湧き出る「やる気=ドライブ」に基づくOSなのです。
活気ある社会や組織をつくるためには、優れたマネジメントなど求められていないと言います。
新時代には、人は義務や強制ではなく内発的モチベーションで働くようになるのです。
詳細は本書を読んでいただきたいと思いますが、組織のルール下で働くことに疑問をもっている社会人の方は、目からウロコ間違いなしです。
本書に百科事典の例があげられています。
今から15年前の経済学者に2つの百科事典の未来を予想させるという仮想話です。
ひとつはマイクロソフト社が莫大な予算を使い、一流のライターや編集者を集めて販売する百科事典。
もうひとつは、どこのだれかわからない何十万人もの素人が自分の楽しみのために無償で提供する情報によって作られる無料の百科事典です。
当然、15年前のまともな経済学者なら前者のモデルが成功すると言うでしょう。
というか、経済学理論上は、それ以外の結論はあり得ません。
しかし、結果は皆さんのご存じのとおりです。
2009年にマイクロソフトエンカルタはサービスを終了、一方でウィキペディアは世界最大の規模と人気を誇る百科事典に成長しました。
無償を推奨するわけではありませんが、ときに報酬は仕事を限定的でつまらない作業にし、無償であることが仕事を遊びにするということなのでしょう。
要するに、モチベーション2.0時代は「仕事はつまらないもの」という前提に基づいて「アメとムチ」管理が行われてきたわけです。
でも、今の時代に生きる僕たちは「言われなくっても、面白い仕事をどんどん見つけるっつーの」という気持ちがあります。
本書は、そんな想いを代弁してくれる一冊でした。
(どうもこの辺、広告業界は逆行しているように思うのですが・・・)
ダニエル・ピンクはアル・ゴア元副大統領のスピーチライターを勤めていたことで有名で、そのプレゼンテーションもとても面白いです。
以下に、このモチベーション3.0についてのプレゼンテーション動画を紹介しておきます。
>もちさん
コメント有難うございます!
今のところ、この本が2010年のベストかなと思っています。
どんな本を読みあさってらっしゃるのか、また教えてくださいね。
この本いいですよね。
とっても分かりやすい。
毎日毎日本を読みあさっていますが、久々によかったビジネス書(?)でした。