いま、時代は「共感の時代」~ハイネケンの事例

カンヌ国際広告祭の報告も旬を過ぎてきたようで、そろそろ終わりにしていきたいと思いますが、これだけは紹介させてください。

ハイネケン・イタリアの「オーディトリウム」というプロモーションです。

先日、佐藤可士和さんの新刊「佐藤可士和のクリエイティブシンキング」を読みました。
佐藤さんは著書の中で「現代は共感の時代」と述べています。

1980年代から1990年代のマスメディア全盛時代は広告コミュニケーションにとって「説得の時代」でした。

1990年代半ばから企業の一方的な説得を鵜呑みにしなくなった生活者に対し「提案の時代」に入りました。

そして2000年以降、インターネットとソーシャルメディアの普及によって情報の流れが双方向になるとともに、生活者同士がつながり、情報を交換し合うようになり「共感の時代」を迎えたと説いています。

僕もこの見解には同意です。
もっといえば、広告コミュニケーションは「情報やデータによる説得」から「ストーリーを語ることによる共感」にシフトしてきていると考えています。

詳しくは別の機会に述べますが、カンヌでもブランドストーリーを語ることによって、生活者の共感を勝ち取るというプロモーションが多く見られました。
先日紹介したゲータレイドの「Replay」もそうでしょう。

そして僕が個人的に最も共感したプロモーションがハイネケンの「オーディトリウム」というプロモーションです。

むかしはよくあった、友だちと自宅のテレビでサッカーを観戦しながビールを飲んで騒ぐという光景。
しかし、最近はこういったバカ騒ぎが歓迎されなくなってきました。

しかしハイネケンが若者たちにその熱い気持ちを取り戻させようという試みです。

イタリアの人気チームACミランとレアルマドリードの大事な一戦。
その同じ時間に、死ぬほど退屈なニセのクラシックコンサートを企画します。

事前に調べたACミランファンをターゲットとして、その周辺のガールフレンドや大学教授などに協力を呼びかけます。
ターゲットに対し、このコンサートチケットを使わなければならないのでどうしても一緒に行って欲しいと頼むのです。

大事な一戦をパスしてコンサート会場に集められたファンたちは、あまりの退屈さにあくびが止まりません。

いい加減に時間も過ぎたころ、徐々に種明かしが始まります。
そして満を持してコンサート会場に設置されたスクリーンにハイネケンがサポートするという形でACミランとレアルマドリードの試合の模様が放映されるのです。

会場は一瞬にしてパブリックビューイングに変わり、会場は大盛り上がりです。

この様子は、スポーツチャンネルでドッキリ番組のように放送されたようです。

僕は、ハイネケンが若者をサポートするという姿勢をこういった形で表現したことにすごく共感を得ました。
まあ、僕がそもそもハイネケンビールを愛飲しているということもありますが・・・

このキャンペーンはカンヌのプロモーション&アクティベーション部門のゴールドほか、いくつもの賞を受賞していました。